[阿賀に生きる]

 佐藤真さんを偲ぶ会から一年が経つ。見たかった処女作『阿賀に生きる』を観る(@アテネ・フランセ)。佐藤さんは、ほんとうに優しい人だと思った。レンズの前に立つ人と被写体との境界が、水彩絵みたいにぼやけてくるまで、じっと待つ寛容さ、そこから生まれてくる美、詩による抵抗ということを、ぼんやりと想った。

 ドキュメンタリーは詩である。


〜佐藤さんの二つのことば〜

 「私はいつも、特別で特殊な社会的な物事の対極に、素朴で無垢なありきたりな日常を対置してきた。」


 「あらゆる芸術は、生き難い生の、その深淵を見つめることから表現の源泉を得るのだ。」